仕事であれば、社交的に振る舞える
友達に「カレーを食べる会」に誘われた。
3,000円で食べ飲み放題、カレーは評判の屋台のもの、場所はとあるレンタルスペース。
友達自身も、過去に知り合った謎のダンサーから誘われたという いかにも胡散臭いお話。
単純に、遊びに誘ってもらえるのはうれしいし、かわいい子と知り合えたらいいな、なんて下心も顔をのぞかせたので二つ返事。男4人で 仕事終わりに いざ行かん。
最寄駅に到着後、地図アプリを見ながら目的地を目指す。
オフィス街を歩く道中、歩道を横断するカエルを見かけて少し驚いた。こんなところで会えるとは。
ほどなくして、会場があるビルに到着。
4人で「客が俺たちだけやったらどうしよかー」なんて言っていたが、建物の外に漏れ出る話し声。人の気配。ちょっと怖くなってきた…。
扉を開けると、会場の広さに不釣り合いな人間の数。パーソナルスペースを確保できないほどの混み具合。コロナ禍終了の打ち上げ会場ですか…??
「職場にゃあ出会いがないし、ここらで彼女作ったろ!」って気持ちがいくらかあった俺ですが、受付の時点で心を閉ざしてしまった。ここまでの参加人数は想定外。
皆笑顔で話している。
すみっこでこの場になじめていなさそうな人間が一人もいない。
社会に出て、いくらか社交的になれたという自負が崩れ去った。
もっとこじんまりとした集まりならね?私も話せるんですよ。
採用試験のグループワークで進行したり、誘われた合コンで主催者野郎がまったく話さないから代わりに場を盛り上げたりしたこともあります。「自分が働くことで今感じている居心地の悪さ」が改善されるのならピエロにだって俺はなる。それが仕事なら、頑張れる。
ただ、今回みたいな「俺以外の皆が初対面同士でも楽しそうにしている」ところには入っていけない。そんな人間たちと私の根っこは違う材料でできているのでなじまない。
大人数相手だと、俺がいなくても場は回るでしょ?誰も俺を見ていないなら頑張らなくてもいいよね?って、人と関わることを放棄してしまう。
中には、俺以上にコミュ力が低そうな大学生風の固い笑顔の青年も見かけたが、彼は輪に入っていこうと頑張っているように見えた。変わろうとしているんだね。偉いね。俺は試合開始早々気持ちで負けた。リタイアした。そこにあるのは身体だけ。魂は固く閉ざされたドアの向こう。
結局、40分くらいは会場にいてツレと飲み食いしたけれど、「楽しそうにしていない人間がいたら周りが気を使うかな?」という考えもあり、途中で切り上げた。
会場を出るときに、近所から騒音で苦情を受けたのか、警察2人が見に来てて笑ってしまった。いいタイミングで退出したなあ、俺たち。
それから友達んちで飲み直し、翌朝サウナで汗を流し、朝マックののち解散。
広がりはないかもしれないが、安心感がある。
結局、いつものメンバーが一番心地良い。